ポスドク 佐藤絢の一日

9:00 出勤・実験予定の確認

毎朝秘書さんが先生たちに淹れてくれるコーヒーをおすそ分けしてもらい、飲みながら今日の実験予定を確認します。私は前日の夜、メモ紙に次の日のやることを箇条書きしています。今日のラボ全体の予定を確認して実験の順番を決めます。

9:30 細胞への遺伝子導入

前日ディッシュに撒いておいた細胞にプラスミドを導入します。6時間後に培地交換が必要なので朝のうちにやっておきます。

10:00 Total RNA抽出とcDNA合成

今日はミトコンドリアのある遺伝子のmRNA量を調べます。まずは細胞のTotal RNAを抽出し、cDNAを合成します。機械にサンプルをセットし、1時間30分ほど反応させます。

11:30 在庫チェック

培地や試薬、チップ、ピペットなどラボの消耗品の在庫をチェックします。
週に1回ラボメンバーが持ち回りでチェックしています。

12:00 顕微鏡観察の準備

午後は蛍光顕微鏡で細胞をタイムラプス観察します。励起光源を安定させ、37℃のインキュベーターをあらかじめ温めておく必要があるので、今のうちに電源をいれておきます。

12:15 昼食

13:15 Ca2+イメージング

蛍光顕微鏡に細胞が撒かれたdishをセットします。今日はCa2+センサーを発現させたA431細胞にヒスタミンを添加し、ミトコンドリアのCa2+濃度の変化をタイムラプス観察します。ヒスタミンを入れると細胞がピカピカしてとても面白いです。

15:00 qPCR

午前中に合成したcDNAを使ってqPCRをします。サンプルを調製し、機械にセットして2時間30分ほど反応させます。

16:00 培地交換

午前中に遺伝子導入した細胞の培地を交換します。遺伝子導入試薬には毒性があるので、培地交換して細胞の健康状態を維持させます。明日まで培養すると導入した遺伝子が細胞内で発現します。

16:30 Journal club & Research talk

週に1回、持ち回りでJournal club (論文紹介) とResearch talk(研究の進捗報告)をやっています。今はコロナ禍のためWebexを使っています。今日は私がJournal clubの担当です。活発なディスカッションになり、発表は何度やっても緊張します。

18:00 qPCR結果の確認

反応が終わったqPCRのデータを確認し、片付けます。うまくいっているといいです。

18:30 夕食

19:30〜 データまとめ、論文作成

論文のRevisionも大詰めです。 文書やデータは基本的に、教授の大場先生に見せる前に講師の藤岡先生に相談したりチェックしてもらいます。大場先生から直接アドバイスを頂く時もあります。先生たちは毎日やることがいっぱいですが、聞きに行くと丁寧に対応してくれます。私も頑張ります。

佐藤さん 一問一答

Q:後輩に送るメッセージ

研究の道に進むかを考えた時に、将来への不安などで悩んでしまうかもしれません。私自身もそうでした。でも、どのような道に進んでも途中で悩んだり迷うことがあると思います。私は学部からポスドクまで研究を続けて、漠然とした不安を抱くのではなく、どう生きるのが後悔しないかをよく考えて選択し、決めたら精一杯取り組むことが大事なのかなと感じています。研究に興味がある皆さんを応援しています。

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